インドネシアで小規模な拠点を立ち上げたい企業や駐在員事務所を設立する企業にとって、サービスオフィスは第一候補の選択肢と言えるでしょう。初期投資を抑えつつ、オフィスとして必要な設備やサービスがすぐに使えるため、日系企業を含む多くの外資系企業が利用しています。
この記事ではジャカルタのサービスオフィスの特徴から、サービスオフィスを選ぶメリット・デメリット、設備や料金形態まで、現地の最新事情に基づいて徹底解説します。ジャカルタでサービスオフィスを検討している方はぜひ参考にしてください。

ジャカルタのサービスオフィスとは?
サービスオフィスとは、家具やインターネット回線、会議室などの設備があらかじめ整っており、さらに受付サービスや清掃、郵便物対応といったサービスなどもついているオフィスのことです。
一般的な賃貸オフィスの場合、内装工事からオフィス家具の購入、インターネット回線の契約、受付スタッフや清掃スタッフの採用などすべて自社でおこなう必要があります。
それに対し、ジャカルタのサービスオフィスの場合は上記の設備が全て用意されている上に、あらかじめ料金に含まれているため、オフィス契約における時間やコスト、手間を大幅に削減できます。
また、ジャカルタのサービスオフィスの中には日本語対応スタッフが常駐しているオフィスもあります。初めてインドネシア進出する日系企業にとっては心強いサービスですね。
レンタルオフィスとサービスオフィスの違いは?
日本では「レンタルオフィス」や「シェアオフィス」と呼ばれるサービスがありますが、サービスオフィスとの違いはなんでしょうか。
実はこれらは「家具・サービス付きのオフィス」という意味で全て同じものを指しています。
日本では「レンタルオフィス」と呼ばれることが多いですが、インドネシアを含め日本以外の国では「サービスオフィス」と呼ぶことが一般的です。英語にすると Serviced(= サービス付きの)Office ですね。ちなみに、Rental(= 賃貸)Office は一般的な賃貸オフィスのこと意味しますので、日本語の「レンタルオフィス」を指したい場合は「Serviced Office」と言う方が誤解がないかと思います。
バーチャルオフィスとの違いは?
よく似た言葉で「バーチャルオフィス」というものがあります。バーチャルオフィスとは物理的なオフィススペースは持たずに、登記用の住所利用や電話転送、郵便物受け取りサービスなどを利用できるサービスです。
物理的なスペースを持たない分サービスオフィスよりもさらに安価で提供されており、ジャカルタでは月額 Rp500,000 程度から利用可能です。日本でも少人数の会社や、完全リモートワークの会社などで利用が進んでいます。
たまに、バーチャルオフィスでのインドネシア進出を検討されている企業がありますが、残念ながら外資企業のバーチャルオフィスでの登記は認められていません。インドネシアでは1%でも外資資本が入れば外資企業と定義されるので、基本的に日系企業はバーチャルオフィスの利用はできないと考えておきましょう。

ジャカルタのサービスオフィスの料金について
ジャカルタのサービスオフィスの料金に関する基本情報を確認しておきましょう。ただ、オフィス会社や契約内容によって異なりますのであくまで一般事例ということでご了承ください。
料金形態
料金形態は「スペースごとの固定料金」もしくは「利用人数 × 1人あたり料金」のどちらかとなっています。
「スペースごとの固定料金」とは、例えばスペースAは定員4名で月額 Rp12,000,000、スペースBは定員5名で月額 Rp15,000,000 という形で固定料金になっています。スペースAの定員4名に対し、実際の利用人数が3名でも料金は月額 Rp12,000,000 となります。
それに対し、「利用人数 × 1人あたり料金」は人数ごとに料金が加算されます。先ほどの例で言うと、スペースAで3名利用の場合は月額 Rp9,000,000、1人増員して利用人数が4名に増えたら月額 Rp12,000,000 になる、という形です。
当然、利用者側としては後者の方が嬉しいですが、料金形態はオフィス会社によって決められているものなので、利用者側で選択できるものではありません。
予算感
2025年時点で、ジャカルタのサービスオフィスの予算感は一人当たり月額 Rp2,500,000 〜 Rp4,000,000 程度です。利用人数や付帯するサービス内容、ビルの立地やビル自体のグレード等によってこのような幅があります。
支払いサイクル
毎月、3ヶ月ごと、6ヶ月ごと、1年一括、など契約により異なります。
保証金(敷金)
保証金はオフィス利用料金の2ヶ月分となることが多いです。初回支払い時に、オフィス利用料金と一緒に支払います。
保証金は退去時に返金されます。サービスオフィスでは基本的に入居後の改装などはしないので、原状回復工事なども発生せず、保証金はそのまま戻ってくることが多いです。

ジャカルタのサービスオフィスの設備・サービス
ジャカルタのサービスオフィスでは下記のようなサービスが含まれています。当然、オフィス会社によって多少の違いはありますので、あくまで一例ということでご理解ください。
料金に含まれている設備・サービス
- 基本的なオフィス家具(椅子、机、キャビネット等)
- 共用インターネット回線
- 会議室の利用(月◯時間まで無料、それ以上は有料、ということが多い)
- ネットワーキングイベント
- 来客の受付対応
- 郵便物の受付
- 清掃サービス
- 簡易キッチン(水道、冷蔵庫、電子レンジ等)
- 飲料水、コーヒー、お茶
- 電気水道などの光熱費
追加料金を払えば利用できる設備・サービス
こちらは追加料金を払えば利用できる設備・サービスです。オフィス会社によっては無料で利用できるものもあります。
- 固定電話回線
- 電話受付サービス
- 専用インターネット回線
- プリンター、スキャナー
- オフィスへの24時間アクセス
- 駐車場
- 会社設立代行
- 税務会計サービス
- 法務サービス
- 軽食やスナック類

サービスオフィスのメリット
- コスト削減と予算計画の立てやすさ:内装工事が不要で、家具やインターネット、受付サービスなどが完備されているため、初期投資はもちろんのこと、人件費などの毎月の固定費も削減できます。また、月々の管理費や光熱費なども料金に含まれていることが多く、予算計画を立てやすいです。
- 柔軟な契約期間と拡張性:一般的なオフィスは2年〜3年契約が多いのに対して、サービスオフィスは1年契約が基本となります。事業の拡大や縮小に合わせてスペースを柔軟に変更できます。急な人員増加でも、スペースさえ空いていれば即日で利用可能なことが多いです(当然、その分の追加料金は必要となります)。
- 入居までのスピード:内装工事が不要で、契約と支払いを完了すればすぐにオフィスを利用開始できます。
- 充実したビジネスサポート:受付での来客対応、電話応対、郵便物・宅配便の受領・発送、清掃、ITサポートなど、オフィス運営に必要な業務をプロに任せられます。
- ネットワーキングの機会:サービスオフィスでは定期的に入居者同士の交流イベントを開催することがあります。同じオフィス内の他の企業との交流を通じて、新たなビジネスチャンスや情報交換の場が生まれることがあります。
サービスオフィスのデメリット
- オフィス利用時間の制限:サービスオフィスはオフィスの利用時間が制限されていることがあります。例えば、平日8時〜19時まで、それ以外の時間に利用する場合は追加費用が必要、もしくはそもそも利用不可といった形です。残業や休日稼働の多い会社は利用時間の制限やそれに伴う追加料金についてよく確認した方がいいでしょう。
- 大人数利用と長期利用の場合のコスト:少人数での利用や短期利用でのコストメリットは非常に大きいですが、人数が多くなったり長期的な利用となると、一般的な賃貸オフィスの方が割安になるケースもあります。
- プライバシーとセキュリティの確保:監視カメラや各スペースに専用の鍵はついているものの、他の企業の出入りが多くセキュリティ面のリスクはゼロにはできません。また、共有スペースでの会話やデバイスの取り扱いには特に注意が必要です。
- オフィスレイアウトの制限:オフィスの内装やレイアウトを自由にカスタマイズすることは難しいです。オフィス内に専用の水道が欲しいなど、特殊な要件がある場合はマッチしません。
サービスオフィスがおすすめの企業
特に下記のような企業にはサービスオフィスがおすすめです。
- 初期投資を抑えたい企業:一般オフィスに比べると、内装工事費、家具購入費、ITインフラ整備費などが不要なため、特に初期投資を大幅に抑えられます。
- 少人数で始める企業:数名といった少人数で事業を開始する場合、一般オフィスを借りるにはコストやスペースが無駄になることがあります。サービスオフィスなら、必要な広さのスペースやデスク数や柔軟に選べ、効率的に利用できます。
- 人員を少しずつ増やしていく計画のある企業:サービスオフィスなら契約スペースの拡張が容易なため、事業の成長に合わせて人員を増やす計画がある場合でも無駄なコストが発生せず柔軟に対応できます。
- とにかく早く事業開始したい企業:サービスオフィスは契約から入居までの期間が圧倒的に短いため、早く事業を開始したい企業にも適しています。
- 進出形態を駐在員事務所とする企業:駐在員事務所は、営業活動を行わず市場調査や情報収集を目的とした進出形態です。数名での活動が前提となるため、サービスオフィスはぴったりの選択肢と言えるでしょう。

まとめ
ジャカルタでビジネス展開を進めるうえで、サービスオフィスは立ち上げのスピード感や初期コストや固定費の軽減といった、大きなメリットがあります。特に初めてインドネシア進出を検討している企業や駐在員事務所を設立する企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
一方で、オフィス利用時間の制限があったり、長期利用や大人数になるとコスト面で不利になるなど、いくつかの注意点もあありました。
もしサービスオフィス選びでさらに詳しく知りたい点や、具体的なサポートが必要な場合は、オフィスマップにお気軽にご相談ください。最適なオフィス探しをサポートさせていただきます。